共愛学園高等学校
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9月の聖句

学内教職員向けのメッセージです。

9月の聖句
 「信仰とは、望んでいる事柄を確信し、見えない事実を確認することです。」
ヘブライ人への手紙 11:1

夏休み、全国キリスト教学校人権教育セミナーに参加してきました。主題講演は関西学院大学で教えておられる桜井智恵子先生でした。「教育は社会をどう変えたのか」という本が、今多くの方に読まれています。
本の帯には、「能力主義を解体せよ。『できる人が優秀』は幻想だった。」とあります。
今、学校に大きくのしかかっているいじめの問題、そして理由のない暴力が起こす様々な事件の背景に、そうした幻想を押し付けてきた社会とそれにどっかりとのっかてきた学校の在り方が本質的に問われているのではないかという発題でした。まじめで、聡明で、優秀な子どもを作り出すことを学校は使命と感じて、その意味を問うことなしにこれまで走り続けてきてしまったが、はたしてそうだろうかという問いです。元気なことはいいこと、できることはいいことという幻想のもとに、そうではない子の個性を否定して、善意からそうした子どもたちを叱咤激励し続けることにより、彼らの居場所はさらに奪われてきたのではないだろうかというのです。
みんながみんな一様に、できるようになることで生きる力をつけるのが理想という思い込みに、私たちは支配されていないだろうか。そこで行き場を失う存在はさらに追い詰められ、時には自らを傷つけ、さらに人を傷つける心理に追い込まれているのが現代社会であり学校なのだというのです。
この講演で、本当にキリスト教主義教育の本質に気づかされました。みんなを同じように育てるのではなく、違いを抱えた子、人と同じに出来ない子を無理やり元気にするのではなく、その子たちの居場所を周りが作り出す知恵を身に着けること、解決はその先にしかないのだと思います。
「望むところを確信し・・・」という聖書の言葉が、そうした本質をしっかりと見据えた教育を実現する勇気と決断が求められていると教えられました。(宗教主任)

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