共愛学園高等学校
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7月の聖句

学内教職員向けのメッセージです。

7月の聖句

「平和や互いの向上に役立つことを追い求めようではありませんか」
 (ローマの信徒への手紙 14章19節)

関西のキリスト教学校で非常勤講師をしていた頃、ある先生が、トラブルを起こした生徒への聞き取りの場面で「何のために〇〇をしたのですか」と質問されていたのを覚えています。その先生にとっては、「なぜ」ではなく、「何のために」というフレーズの方が、生徒の問題ある言動がどんな「目的」で生まれたのかを確認しやすかったからです。トラブルが起きる要因となった言動は本来の「目的」から外れているものではなかったか、他の手段があったのではないか…など、まずは生徒の内にある根本的な「目的」を見つけ、振り返り、これからの「手段」を一緒に考えておられたように思います。「目的を見つけよ。手段は後からついてくる」、というマハトマ・ガンディー(ヒンドゥ教徒ですが聖書も大切にしていました)の言葉を思い出しました。
 今月の聖句は、使徒パウロがローマの教会に宛てて書いた手紙です。ローマの教会には、様々な文化的背景を持った信徒が集まっており、これまで培ってきた生活信条や生活態度にこだわりを持っていました。それ故に、お互いのこだわりを非難したり、逆に、こだわりをもたない者を不信仰な者だと裁いていたりしていたようです。そこでパウロはまず最初に、教会の目的はキリストの愛に従って「平和や互いの向上を追い求める」ことであったことを思い出させます。そして各々のこだわりは、あくまでも「手段」であり、その「手段」がお互いのそしりの種になっているのであれば、本来の「目的」から大きく外れていることを指摘しました。ローマの教会の人々は、いつの間にか自分達の信仰のこだわりを守ることが目的となってしまい、本来教会が向かうべき目的から遠ざかっていたのでした。
共愛学園のキリスト教主義教育は、様々なこだわりや違いをもった者同士が「共に生きる」、というイエスが提示された難題にチャレンジすることを目的としています。そこに人の本当の幸せがあるとイエスが招いているからです。その目的に向かって様々な「手段」を生徒と共に生み出していければと願います。
(宗教部主任)

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