共愛学園高等学校
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2月の聖句

学内教職員向けのメッセージです。

2月の聖句

「苦難は忍耐を、忍耐は試練を、試練は練達を生む。」
ローマの信徒への手紙 5:3

ローマの信徒への手紙の著者であるパウロは、古い価値観と新しい価値観のはざまに生きて信仰にめざめた人です。偏狭なユダヤ主義者だったパウロは、新しい社会、自分とは違う価値観をもった人々を許すことができずに、真向からその人々と戦う人でした。具体的には初期のクリスチャンたちにとっての迫害者だったわけです。
そんなパウロは、同時に狭い民族主義には収まり切れない世界の真実をどこかに感じ取りながら生活する人でもありました。現実の世界に生きる人々の尊厳に触れながらも、それを受け入れることを拒み、自らのアイデンティティと価値観に固執することで自身を支えようとしていた彼の中には、常に自己矛盾と受容しがたい不完全ではない自分への葛藤があったと思います。
それは苦しみであり、忍耐であり、そして試練であったでしょう。でも、その試練が限界に達した時、パウロは、自身のかかえる弱さ、不完全さをも包み込む真理に気づき、それを受け入れました。彼にとってはそれは、十字架に死に、にもかかわらず人々に生きる勇気と希望を与え続けるイエスの生き様との出会いでした。その気づき、それを受け入れる勇気がその後のキリスト教思想の土台となりました。
私たちが置かれた状況も、それに通じるものがあるように感じます。学校の教育をずっと支えてきた土台が、今まさに様々な角度から見直されつつあるように感じます。絶対であると思われてきた指導法や教育の目的が、今日的な課題の中で激しく揺さぶられ問い直される試練の中から、共愛としての練達を生み出していけることを心より願います。(宗教主任)

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