共愛学園高等学校
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2月の聖句

学内教職員向けのメッセージです。

2月の聖句

「わたしの目にあなたは価高く、貴い」(イザヤ書43章4節)

水口洋先生(元玉川聖学院中高部長)は、現代のこどもの状況について「絶えず人の目を気にしている子が多い。その中で、自分に自信がない子が多い。自分は、たった1人の素敵な存在であるはずなのに、優越感を持てるごく少数と、圧倒的多数のコンプレックスを持つ子に分類され、社会に出てもそれが繰り返されてしまっている」と指摘しています。そして、「健全な自尊感情を持てない代償として、自己を無理やり肥大化させ、他者を見下し、聞く耳を持たず、何でも押し通そうとする」傾向が見えてきているとしています。水口先生は、競争社会が「ごく少数の勝者と圧倒的多数の敗者を生む」なかで、それをそのまま自分の価値の優劣と結びつけてしまい、敗者のレッテルを自ら貼った人たちの自尊感情を低くしてきたのではないかと捉えています。
9月号でご紹介した森岡毅さん(株式会社刀代表取締役兼CEO)は、日本の最大の課題の1つが「Self Awareness」(自分の特徴を知っている度合)の強いこどもを増やしていくことだと指摘しています。こどものキャリアデザインには①己の特徴[強み]の理解②それを磨く努力③環境(学校・就職)の選択というステップがあり、①の「Self Awareness」をいかに早く、明瞭に認識していくかが今後のキャリアに大きく影響していくと分析しています。ですが日本では、その「Self Awareness」を高めるためのメソッドを学んでいないが故に、他者との比較のなかだけで自分の特徴[強み]を探そうとしたり、社会経験が少ないから自分の強みや軸など分かるはずがないと先延ばしにしている傾向が強いようです。しかし、森岡さんの著書を読むと、いかに自分の特徴[強み]の見つけ方を教えられてこなかったのか、「もっと早くに学べていたら」と感じることばかりでした。
本日の聖書箇所には、勢力争いに負け、他国に囚われの身となった状況下でなお、自分達の存在価値や貴さを知らされた人々の喜びが言い表されています。競争の優劣だけではない、己の持っている価高さ(強み)に気付き、それを磨き、自尊感情を高めていけるような環境を生み出していくことは、「Self Awareness」の低い現代日本において、最も必要とされているキリスト教主義教育の形であると思わされます。(宗教部主任)

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