共愛学園高等学校
共愛学園
共愛学園

10月の聖句

学内教職員向けのメッセージです。

10月の聖句
「今このわたしに知恵と識見を授け、この民をよく導くことができるようにしてください」(歴代誌下1章10節)

「この時代に生きる、私たちの矛盾。ビルは高くなったが、人の気は短くなり。高速道路は広くなったが、視野は狭くなり。たくさん物を買っているが、楽しみは少なくなっている。レジャーは増えても、楽しみは増えず。より便利になったが、時間は前よりもない。持ち物は増えているが、自分の価値は下がっている。喋り過ぎるが、愛することは稀であるどころか憎むことが多すぎる。急ぐことは学んだが、待つことは覚えず。情報を手に入れ、多くのコンピューターを用意しているのに、コミュニケーションはどんどん減っている。」故ジョージ・カーリン(アメリカのコメディアン)が語った言葉です。経済学の「機会費用」という考え方に倣えば、私達が何かを選択するということは、その他の選択(別の貴重な機会)を捨てているということになります。これまで私自身、何を選択し、何を捨ててきたのだろうかと考えさせられます。物質的な豊かさや、溢れる情報にとりかこまれ、様々な選択の自由が与えられている現代。しかし、そのなかで、あたりさわりなく上手に世渡りし、適当に泳ぐ術は身につけられても、一体何が大切で、自分はどこに向かっていけば良いのか、ものや情報が多すぎて、またそこに順応することばかりに気を取られ、自ら選択し、生きるための指針が益々見えにくくなっているのかもしれません。
今月の聖句は「何事でも願うがよい、あなたに与えよう」という神からの問いに対し、古代イスラエルの王ソロモンが答えた言葉です。ソロモンは、あらゆる選択が出来るなかで、「富や名誉、宿敵の命、長寿」といった自己充足を求めず、民を豊かに導くための知恵と識見を求めました。そのソロモンの選択の先には、かえって人間本来の幸せと充足が秘められていることを聖書は告げています。“夜回り先生”こと水谷修先生は、自死を望むこども達に「周りに優しさ配ってごらん。人のために生きてごらん。そうして笑顔が返ってきたら、生きる力になる。楽になれるよ」と伝えるそうです。人のために知恵や識見を求め、それを研磨し、進路を選択していくことが、かえって自分の幸せと充足につながっていく…その生きるための指針や選択肢を指し示すこともまたキリスト教主義教育の大切な役割であると感じています。(宗教部主任)

前の記事:9月の聖句   次の記事:11月の聖句