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聖書
- 2015.03.01
3月の聖句
自分自身を愛するように、隣人を愛しなさい。
レビ記 19:18
旧約聖書のレビ記とは、トーラーと呼ばれるモーセの5つの律法の一つで、伝統的には、モーセによって与えられた、神からの律法を記した書と理解されてきました。ですから、ユダヤ教においてはもちろん、キリスト教においても非常に重要な意味をもった律法についての解説が主要な内容となります。
その律法ですが、日本に住む私たちにはあまりなじみのないものなのかもしれません。戒律と理解すると、何か自分の生き方を縛り付ける、不自由さを感じてしまうだろうと思います。
ですが、様々な民族に翻弄され続けて生きた一つの民族が、歴史の中で、自らのアイデンティティを失うことなく生き残っていった大きな根拠であり、歴史の中で紡がれてきた民族の知恵として読むと、多くのことに学ばされます。
争い、絶望、裏切り、悲しみが溢れかえったいつ終わるとも知れない苦難の歴史の中で、人々は仲間であるために、共に生きるために、自らの歴史と現実から学びつつ、律法を見つけ出し、それを神様からの贈り物として理解してきました。
それは、個性や思想、人種、文化を超えて私たちがいかに共存することができるのかという現代社会が抱える大きな課題にも、普遍的な光を投げかける知恵であると思います。
自らの痛み、悲しみを知るが故に、他者の痛みに寄り添う心を忘れてはならないという思想が、常に旧約の思想の背景に流れています。そうした意味で、共愛に学ぶ生徒一人一人の心の基に、他者を思う心が育つことを願っています。国際理解の重要性が叫ばれる昨今ですが、そのすべての礎として、この思想は非常に重要だと感じます。
(宗教主任)